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再建築不可物件の相続放棄

相続対象となった物件が再建築不可物だった場合、どのように活用すべきか悩むもの。いっそ相続権を放棄することも視野に入れる必要があるかもしれません。再建築不可物件の相続と相続放棄について見ていきましょう。

土地・建物の相続放棄は可能か?

相続放棄とは、財産に対する相続権を放棄することです。相続開始から3か月が経過する前に、相続人が裁判所に対して必要な書類を提出すれば相続放棄が成立します。

家族が亡くなった時に土地・建物を相続することがあります。もし負の遺産があるなら、「相続放棄」で回避することが可能です。

相続放棄の対象となるものは、預貯金・建物・土地といったプラスの財産だけではなく、負債のようなマイナスの財産も含まれます。

相続財産の中に再建築不可物件が含まれていた場合、該当の物件のみを相続放棄できたらと考える人は多いでしょうが、負債だけを放棄してプラスの財産だけを受け取ることはできません。

相続までの流れ

再建築不可物件を相続する場合、以下の流れで行われます。

  1. 相続財産のリストアップと、相続人の確定
  2. 遺言書の有無や内容の確認
  3. 遺産分割協議で遺産の分配を決定(遺言書があれば不要)
  4. 相続税の申告と財産の相続登記

遺産分割の対象となっている財産は、借金その他マイナス遺産も含めてすべてリスト化し、誰が相続人となるかを確認する必要があります。遺産分割の内訳が確定したら相続税の申告・納付と不動産の相続登記を実施。相続税の申告・納付は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に完了する必要があります。

相続放棄の流れ

再建築不可物件を含め、遺産を相続したくない場合は相続放棄を以下の流れによって行います。

1.必要書類を揃えて家庭裁判所に提出する

相続権を放棄する場合、「相続放棄申述書」を作成した上で、次の書類と一緒に家庭裁判所に提出する必要があります。

相続放棄は相続開始から3か月以内に行わなければならない、という期限があります。期限内に手続きを完了するのが難しそうであれば、司法書士などに依頼するのも一つの方法です。

2.相続人が決まるまでは遺産を管理する必要がある

相続放棄の手続きが認められたとしても、次の相続人が見つからない場合があります。そのときは相続放棄の後でも再建築不可物件その他を管理する必要があります。

3.相続人がいなければ「相続財産管理人」の選定が必要

全員が相続放棄手続きをしてしまって相続人が一人もいなくなってしまった場合は、相続人や利害関係者が家庭裁判所に対して「相続財産管理人」の選任を請求する必要があります。

相続財産管理人選任の申し立てには、裁判所への予納金や手続き費用などを含めて数十万円の費用がかかります。

相続放棄の注意点

1.特定のものだけ相続放棄はできない

再建築不可物件の相続権を放棄するのは可能ですが、一度放棄手続きをすると再建築不可物件以外の他の遺産も相続できなくなります。つまり特定の遺産だけの相続放棄はできないため、再建築不可物件以外に預貯金ほかプラスの遺産があった場合、一括で相続権を放棄することになります。

一度相続放棄の手続きをすると、基本的に取り消しはできません。放棄するか否かで迷ったら、専門家に相談するのがおすすめです。

2.不動産の管理義務は残る場合がある

相続放棄をしたら不動産・株式などの資産を相続できませんが、それでも不動産の管理義務が残ってしまうことがあります。

管理義務が残った場合、相続人が新たに決まるまでは「自分のものを管理するとき」と同程度に遺産を管理する必要があります。例えば空き家などは放置で社会的なリスクが生じる可能性があり、それによって第三者に迷惑をかけると責任を問われる可能性もあります。

不動産の管理義務とは

不動産の管理義務とは、相続人が一人しかおらず後順位の相続人がいない場合や、複数いた相続人の全員が相続放棄した場合などに、相続放棄者が遺産を管理しなければならないというルールです。

適切に管理しなかった場合には、相続放棄者の管理責任として損害賠償請求されるリスクがあります。かといって勝手に遺産を処分してしまうと、「全ての財産を相続する」とみなされてしまい、相続放棄の効果がなくなってしまいます。

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