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再建築不可の物件に対して、リフォームはどこまでできるのかという視点から、その可能性や見通しなどを解説していきたいと思います。
再建築不可の物件というのは、本サイトで繰り返し述べています通り、その多くが、建築基準法上の道路に2m以上接していないというのが、理由となっています。
それこそ、人一人が通れるくらいの小路や路地などで出入りする家は、ほとんどが再建築不可となってしまう訳です。
しかし、そうした家であっても、地域との関わりや利便性、愛着など、様々な理由によって、できる限り住み続けたいという方もいらっしゃることでしょう。
ならば「建て替えは不可能でも、リフォームでより長く住めるようにすればいいのではないか」という考えをお持ちになる方も少なくないはずですね。
そこで気になるのが、再建築不可の物件は果たして、どこまでリフォームできるのかという点です。
端的に言ってしまいますと、建物の形状を変えず、増築とならない範囲内であればリフォームは可能ということになります。
例えば木造住宅の場合、建物の基本骨格である柱や梁、筋交いなどを組み替えてしまうと、これは建て替えとみなされます。
そうした場合は当然違法となり行政などの監視網に引っかかれば、最悪リフォーム(実際には建て替えですが)途中で中止命令が下るということもありえます。この点は心しておいてください。
再建築不可物件は、建て替えができない分リフォームを検討する人もいるのではないでしょうか。
ここでは、再建築不可物件でリフォームを行う場合にできること・できないことについて関連する法令も交えながらご紹介していきます。どのような場合にリフォームが可能になるのか、しっかりと確認しておきましょう。再建築不可物件の場合にはリフォームができない事例がある、という点について覚えておく必要があります。
都市計画法第53条では、「都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の許可を受けなければならない。」と定められています。
一定の規模以上のリフォームを行う場合には、「建築確認申請」を行う必要があります。この申請は、建物が敷地や構造、設備、用途に関して建築基準法で定められている最低限の基準を満たしているかどうかを審査するためのもの。住宅の新築や増改築を行う場合に申請します。例えば、増築工事や構造耐力上で主要な部分について改修を行いたいと考える場合は、この建築確認申請を行わなければなりませんし、許可がおりない場合にはリフォームを行うこともできないのです。
ただし再建築不可物件の場合、この建築確認申請を行ったとしても行政の建築許可がおりません。そのため、建築確認申請が必要となる大規模なリフォームは行えない、ということになるわけです。
参照元:e-GOV 法令検索「都市計画法(昭和四十三年法律第百号)」ただし、「軽微なリフォーム」の場合であれば前項で説明した建築確認申請は不要と定められているため、再建築不可の物件でもリフォームが行えることになります。
ここで話題となっている物件は、主に木造平屋建て、木造2階建て、鉄筋平屋建ての住宅に該当することがほとんどと予想されますが、これらの建築物は建築基準法において「第四号建築物」、いわゆる小規模な建物とされています。そのため、第四号建築物に当てはまる建物は、改築・模様替えなどを行っても建築確認は不要となります。
ただし、例外もあります。床面積が500平方メートルを超える場合には、木造平屋建てや木造2階建て、鉄筋平屋建て出会ったとしても建築確認が必要なるため、かなり大きな家の場合は注意が必要でしょう。また、耐震基準が現在の建築基準法に合っていない場合には、「既存不適格建築物」となり耐震工事が必要なため、建築確認申請を行うことになります。
以上のことから、一般的な木造住宅の場合であれば再建築不可物件であったとしても耐震性に問題がなければ壁紙の張替え、水回りの設備を取り換えるなどのリフォームを行えることになります。どの程度のリフォームができるのか、プロに相談してみると良いでしょう。
また、工務店やハウスメーカーに相談しても「それは難しい」といった答えが返ってくることが多くあります。しかし、その多くは物件自体の再生が不可能なのではなく、自社においてそのノウハウがなかったり、コストに見合わなかったりといった意味も含まれているのです。
そのため、一社だけに絞らず許可認定や法律に詳しい会社に的を絞ったり専門家に相談したりすることで、再建築不可物件の活用方法の道が開けてきますよ。
再建築不可物件をもしも増築してしまった場合、建築基準法を満たさないため違法建築物となってしまいます。そのため、増築をした後でも市役所などから元の状態に戻すように是正命令が出されることになります。なぜなら、増築をするには建築確認が必要で、再建築不可物件は一定条件を満たさない限り増築できないことになっているからです。
また、既存の建物が法改正によって不適格になることもあります。これらを既存不適格といい建て替えを行うときには、現行の法令に則った建築物にしなければならないことになっています。
もし違法建築物となってしまった場合には、その責任はその建築物を建てた建築主や所有者、施工者にかかってきます。このことから、もし違反建築物を取得してしまうと、新たに所有者となった人が違反を是正する必要がありますので、物件を取得する際には十分に注意しましょう。「確認済証」や「検査済証」が交付されているかどうかを確認することを忘れないようにすることが大切です。
参照元:東京都都市整備局「違反建築物等の取締り」建築基準法には接道義務が定められていて、家を建てるための土地は4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。ただし建物が道路に一定以上面しているものの、その道路が4m未満の物件の場合にはセットバックという方法で増築できます。
セットバックとは後退を意味する言葉で、所有する敷地を本来の境界線よりも後方に下げて建物を建設することで前面の道路幅を確保する方法です。セットバックを行って前面道路を幅4m以上にすれば、その道路に2m以上接している敷地は接道義務を果たしているとみなされ、再建築が可能となります。ただしセットバックを利用して後退させた部分は個人の利用ができません。塀や柵などの設置もできないため、慎重に検討するようにしましょう。
消防車や救急車といった緊急車両がスムーズに通行できるように接道義務のルールが制定されています。そのため緊急車両が通行できるスペースがあれば接道義務の条件を満たしていなくても再建築不可物件とはならないケースも。例として、敷地の周囲に公園や広場など広い空地を有する建築物です。このような「接道義務但し書き」の適用を受けるためには特定行政庁の認可を受ける必要があるため、まずは役場や専門家に相談してみましょう。
敷地と道路の接地面が2m未満の場合、隣接している土地を購入して増築することは可能です。ただし購入のためには隣接する土地の所有者に売却してもらう必要がありますので、できれば不動産会社をはじめとする専門業者を介して交渉した方がよいでしょう。
再建築不可物件は敷地面積が小さい土地も多いため、隣接している土地を購入することで結果的に建物の面積が広がり、物件としての価値を上昇させることにもつながります。
再建築不可物件を増築する際に気を付けるべきなのが耐震性です。再建築不可物件のほとんどが建築基準法の制定前に建てられた古い建物のため、現在の耐震基準を満たしていない建物も少なくありません。
増築した建物は増築部分と既存部分の2つに分けて考えられ、既存部分で耐震基準を満たしていない場合には増築部分との間で耐震性のズレが生じます。ひとつの建物で耐震性に差があると住宅全体のバランスが崩れて倒壊リスクが高まるのです。増築をしたとしても結果的に耐震性を下げてしまう可能性があります。
再建築不可物件に限ったことではありませんが、増築する際は新築を建てるときと同じく建築基準法上の規定を守る必要があります。特に重要なのが「建ぺい率」や「容積率」といった基準です。建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合のことで、容積率は敷地面積に対する延床面積の割合をいいます。つまりどちらも「敷地内において、どのくらいの面積を建物に使えるか」を示す数字です。
増築といっても敷地内全体に増築していいわけではなく、建築基準法で増築できる面積は制限されていることを覚えておきましょう。
再建築不可物件は資産価値が低いため固定資産税を含む税の負担が通常よりも少なく設定されています。しかし再建築不可物件を増築可能にすれば資産価値も通常の物件と同様です。固定資産税も通常通り課されることを忘れないようにしましょう。接道義務をクリアした際にかかった工事費用に加えて、固定資産税もこれまで以上にかかることを念頭に入れて予算を組む必要があります。
増築工事の施工に問題がある場合、接合部に隙間が生じて雨漏りが発生しやすくなります。増築をする際には必ず施工業者とよく相談して、接合部の対策を徹底してもらうようにしましょう。
一般に再建築不可の土地に建つ物件は、築数十年というような古い建物が多く、建物そのものの評価額も低い場合が多いようです。このように、再建築不可物件は評価額が低いため、金融面においても担保評価が低いと判断されてしまいます。
よって、再建築不可物件の場合には、住宅ローンを組むことが難しくなるため、ローンを組むには適さない不動産だと一般的に言われています。
しかし、 クレジット会社や金融機関が提供している担保を設定しない無担保型のカードローンであれば利用が可能になります。この種のローンには担保がなく連帯保証人も必要としないため、金利が高めになる傾向があります。限度額も上限が500万円から1000万円となっていることが多く、あまり高額の融資が望めないのが特徴ですので、一般的なリフォーム、住宅ローンのメリットには敵いません。
ただし、再建築不可の判定を受けている物件をローンで購入し、リフォームすることを考えている場合には、その地域によって「特殊物件対象住宅ローン」が利用できる場合もあるようです。これらの場合は、購入対象の不動産を担保に融資が行われますが、再建築物件の担保の必要可否は問われないこととなっています。
再建築不可も含め、換金性が低い物件を対象としていることが特殊物件ローンには多く、その分金利が高めになる傾向があるようです。
逆に、基本骨格や建物の形状はそのままに、耐震補強や断熱材の使用、外壁の塗り替え、設備の入れ替えなどは行うことができます。
それこそ、新築に限りなく近い状態とすることも不可能ではありません。ただし、そこで大きなハードルとなるのが、費用の問題です。
仮に新築同様に仕上げるとなると、結果的に新築以上の費用がかかる場合がほとんどです。
またリフォームを対象としてローン商品も金融機関によっては用意されていますが、限度額や金利などは新築向け住宅ローンより条件が劣る場合がほとんど。
加えて接道に問題がある再建築不可の物件ゆえに、足場の問題や隣接住宅とのスペースの狭さ、物資の運搬などがやりにくくなるため、追加費用が発生する場合もあるのです。
つまりは、「新築以上にお金をかけてもよく、その資金が自前で用意でき、どうしてもその物件(立地)に住み続けたい」ということであれば、リフォームを実施して住み続けるというのもありでしょう。
逆に、そこまでの思い入れがなく、まとまったお金で売却し、住み替えた方がよいと考えるなら、再建築不可物件の買取をしてくれる業者の門を叩くべきです。
この点はよくよく考え、ご家族ともじっくり相談し、将来のライフスタイルまでしっかり見据えた上で、結論を出すようにしてください。
この記事では、再建築不可の物件におけるリフォームについて解説してきました。
住宅の新築や改築には様々な法令が関連してきます。再建築不可物件は、建て替えができない物件だからこそリフォームを検討したいところですが、その場合には違法建築物とならないよう再建築不可物件についてしっかりとノウハウを持った業者に相談をするのがおすすめです。
特に、再建築不可物件をリフォームすることで、可能な限り高額で売却したいという希望がある場合には、専門の業者に相談することで希望を汲み取った提案をしてくれるはずです。
このサイトに掲載されている再建築不可物件の買取を行っている企業の中から、東京都の宅地建物取引業者免許を取得しており、免許更新回数が4回以上、設立から15年以上であることが公式HP上で確認できた4社を紹介します。※2022年10月時点の調査内容
設立 | 免許更新回数 | 買取までの最短期間 | |
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訳あり物件 買取センター |
1991年 | 8回 (東京都知事免許(8) 第61604号) |
即日査定・即日現金化 |
フレキシブル |
1992年 | 4回 (東京都知事(4) 第83259号) |
即日回答・翌日決済(前提として机上査定あり) |
エステート リサーチ |
2003年 | 4回 (東京都知事(4) 第82776号) |
要問い合わせ |
再建築不可.net |
2004年 | 4回 (東京都知事(4) 第84482号) |
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