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連棟式建物とは、複数の建物が連結した状態で建てられている物件であり、いわゆる「長屋」の構造になっているものを指します。
連棟式建物は複数の建物を個別に建てる場合よりも、構造的に土地面積や建材を省略しやすく、限られている土地に少しでも多くの世帯が暮らしたり、低コストで複数の物件を建てたりしたいと考えた場合に利用されることが特徴です。
反面、連棟式建物は種類や権利関係によってリフォームや再建築が困難になることもあります。
建物や土地の権利関係によって連棟式建物は「テラスハウス」と「タウンハウス」に分類されます。
テラスハウスは、物件全体は連棟式建物であるものの、それぞれの世帯が暮らす建物や土地については所有者ごとの単独所有になっている物件です。
タウンハウスは連棟式建物がマンションのように1つの物件として扱われており、それぞれの住宅の所有者は建物について区分所有、土地については共有か分筆によって所有しているという状態です。
テラスハウスであればともかく、区分所有として扱われているタウンハウスの場合、物件ごとの単独所有になっていないため、物件の所有者が独断でリフォームや建て替えといったプランを決定することが認められません。
そのためタウンハウスの再建築を考えた場合、物件全体の所有者や土地の共有者の全員と交渉して同意を得ることが必要です。
なお、テラスハウスであっても構造的に隣接している住宅の所有者と交渉して、再建築への同意(切り離し同意書)を得ることが必要です。
建築基準法では土地や建築について「接道義務」を定めており、建築物の敷地は道路へ2m以上の範囲で接していなければならないとされています。そのため、自分が所有する連棟式建物の一部を建て替えるとしても、他の物件の接道義務が成立しなくなるような場合、そもそも建築基準法に不適合となって再建築はできません。
構造的に連棟式建物は単独物件として切り離すことが困難です。
権利関係にもつながる話ですが、隣接する物件の所有者から再建築やリフォームに関して同意を得られたとしても、再建築工事で隣人の生活に負担や影響を与えることは避けられません。また工事のコストも通常より増大する可能性があるでしょう。
その他、連棟式建物で暮らしていた人が亡くなり、遠方に暮らす家族や親族が権利のみを相続しているような場合、そもそも「切り離し同意書」を得ようと思っても交渉すること自体が困難になるケースもあります。
連担建築物設計制度とは、複数の建築物についてそれぞれ位置や構造、安全管理上の問題など諸条件を満たしている場合、それらの建築物が全て同一敷地内にあるものと見なして建築基準法上の規制を緩和する制度です。連棟式建物では接道義務の問題で再建築が困難になることもありますが、連担建築物設計制度の申請が認められれば全体を1つの建物として再建築することが可能となります。
連棟式建物の再建築が困難になる原因の1つとして、各所有者の権利関係が複雑化するというものがあります。言い換えれば、隣接している物件や連棟式建物全体を個人が全て所有すれば、権利面での問題がクリアされるため再建築もできるようになるでしょう。
ただし所有権がクリアされても建築基準法上の規制などの条件は守らなければなりません。
住宅ローンの申込みを行うと、必ず融資審査が行われます。契約者の返済能力や物件の担保としての価値などを多角的に査定されます。一方、連棟式建物はそもそも取り扱いが難しく、テラスハウスでもタウンハウスでも再建築やリフォームなどに様々な条件を抱えていることがポイントです。
つまり、連棟式建物は仮にローンの返済が困難となって差し押さえすることになったとしても、購入希望者が見つかりにくく、競売でも売却価格が安くなってしまう可能性が高くなります。
不動産価値が不十分だと考えられれば、当然ながら担保としての価値についても不足してしまい、結果として住宅ローンの融資審査でも厳しいものになってしまうことが必然です。
なお住宅ローンの申込みができなければ現金決済で不動産を購入しなければなりませんが、当然ながら現金決済で不動産を購入できる人が限られるため、その面でもやはり不動産取引の難易度が高くなるという悪循環が生じます。
連棟式建物では複数の住宅や部屋が連結しているため、特定の部分だけを切り離して単独工事するといったことができません。仮に一部屋だけの工事を計画するにしても、必ず隣接している物件には相応の影響が発生します。
権利関係については、隣接する部屋の所有者から同意を得られてクリアできたとしても、他の所有者に対して相応のメリットを提示できなければそもそも同意を得ることが難しくなるので、結果的に再建築できる可能性が低くなってしまいます。
個別に建てられており、単独所有で存在している物件と違って、連棟式建物では常に所有者だけの判断で再建築工事を行うことはできません。そのため、現実的に連棟式建物を売却しようと思えば、近隣住民との良好な関係性や工事についての理解を得ることが必要です。
また場合によっては他の所有者に自分が所有する連棟式建物を買い取ってもらえる可能性もあります。
買取専門の不動産会社の中には、再建築不可や再建築困難となる訳ありの物件や土地にも利用価値を見出し、自社買取を行っているところがあります。そのため、連棟式建物の売却先として買取専門不動産会社に相談することも1つの方法です。
連棟式建物の売却が困難な理由として、物件の所有者や権利関係を自分だけでまとめられないことが挙げられます。言い換えれば、連棟式建物の他の部分を所有している人から持分を買い取り、全体を所有した上で売却するといった方法もあるでしょう。
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設立 | 免許更新回数 | 買取までの最短期間 | |
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訳あり物件 買取センター |
1991年 | 8回 (東京都知事免許(8) 第61604号) |
即日査定・即日現金化 |
フレキシブル |
1992年 | 4回 (東京都知事(4) 第83259号) |
即日回答・翌日決済(前提として机上査定あり) |
エステート リサーチ |
2003年 | 4回 (東京都知事(4) 第82776号) |
要問い合わせ |
再建築不可.net |
2004年 | 4回 (東京都知事(4) 第84482号) |
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